双条光華のエンタメ一刀両断!でタグ「女系家族」が付けられているもの

「修羅場」

 宇市(橋爪功)のしたたかさにも綻びが見えはじめた。山守の戸塚(石田太郎)が言ったとおり、嘉蔵(森本レオ)が彼に遺言を残さなかったのは、横領を知っていたからかもしれない。

 となると、当然、文乃(米倉涼子)にもそのことをもらしているはずである。にもかかわらず、彼女が宇市に彼のことを嘉蔵が信頼していたと告げたということは、それが嘉蔵による指示である可能性もある。嘉蔵が宇市の横領を知っていれば、その証拠を文乃に託しているかもしれないし、それ以上の策略が授けられているかもしれない。

 ただ、それならばはじめから遺言で文乃に遺産を与えれば良いだろうと思ってしまうが、嘉蔵が婿養子であり、しかもその愛人という立場上、そう簡単にはいかないということだろうか。

 宇市、梅村(高橋克典)の対決も見もので、次回梅村と藤代(高島礼子)は山林に行き、宇市の企みを暴くことができるだろうか。また、文乃の隠し玉とは何だろうか。遺産はいらないと公言している文乃が今後、遺産を手に入れようとするのかは分からないが、まだまだ大きな波乱が待ち構えていそうだ。

「流産」

 このドラマのキーマンは梅村(高橋克典)と宇市(橋爪功)であるように思う。藤代(高島礼子)ら姉妹はまだそれほど宇市を疑っていないが、梅村や良吉(沢村一樹)は宇市の行動に不信感を抱いている。特に梅村は強く疑っているようなので、今後二人の対決があるかもしれない。

 当の宇市は秋田の山林をすでに丸坊主にしてしまったようで、なんと気の早いことか。藤代たちには他の山を案内してごまかすようだが、確実に自分にものになると決まる前から伐採してしまうとは、実に肝の据わった人間だ。「頭の黒い大鼠」とは、彼を評しての梅村の言葉だが、まさにその通りである。

 その梅村は藤代の味方を演じつつ、文乃(米倉涼子)にも接近している。彼はすでに、土地の鑑定の際に私服を肥やしたようだが、藤代の味方を演じているのは財産目当てに違いない。一方、文乃のことは心から想っているように感じられるが、実際のところはどうだろうか。まだまだ分からない。

 そして、次回の予告によると、梅村と文乃が会っている所に藤代が現れるようだ。これにより、3人の立ち位置がどのように変化するのか楽しみだ。梅村が藤代から離れるとなれば、宇市にとって有利になるかもしれない。どんな展開が待っているのだろうか。

「新事実」

 宇市(橋爪功)強し。さすがに、長年矢島商事の帳簿を仕切っていただけあって、大変うまく立ち回っている。藤代(高島礼子)に山林の記載もれを指摘されたものの、のらりくらりとやりすごし、さらには開き直ることで、一族に頭を下げさせた。

 とはいうものの、今後、良吉(沢村一樹)らが本格的に動き出せば、宇市の立場も危うい。実際、良吉は早くから宇市に疑念を抱き、社長就任後は退職を促すつもりでいた。宇市を一番強く疑っているのは、彼だろう。

 しかし、その良吉の社長就任にも揺らぎが見え始めた。それは、文乃(米倉涼子)が嘉蔵(森本レオ)の愛人であることが、デパート側に露見してしまったことが原因である。梅村(高橋克典)の助言により、見事回避できるのだろうか。

 それにしても、梅村の真意はいまだに分からない。彼の目的はどこにあるのだろうか。藤代にとりいることで、矢島家の資産の一部を得ようとしているのかもしれないが、それにしては文乃との親しい関係が気にかかる。みている限りでは、文乃に近づいているのは、思惑があるというよりも、本当に嘉蔵を愛している彼女を想ってのことであるように思える。現時点で一番の謎がそれである。はたして、今後梅村はどのような振る舞いをするのか。それによって、遺産争いの結果はどう変化してゆくのか。緊迫感あるストーリーが心地よい。

「非情」

 最終的な勝者は誰になるのだろうか。まだまだ先の見えない展開で、これからがとても楽しみである。

 矢島家は女系家族であるから、当然三姉妹の力が強いわけだが、実際にはそうでもないのかもしれない。先代の嘉蔵(森本レオ)も、文乃(米倉涼子)という愛人を囲っていたわけだし、宇市(橋爪功)も私腹を肥やしているようだ。そして、次期社長の座を手に入れた良吉(沢村一樹)。さらには、梅村(高橋克典)まで絡んできている。女系家族といえども、実は男性に食いつぶされているのではないだろうか。

 そう考えると、このドラマは、プライドが高く欲深い女性たちが互いに争っている間に、したたかな男性たちが、巧みに遺産をかすめてゆくという、漁夫の利的な物語のようにも見える。それとも、最後に笑うのは、やはり女性たちなのだろうか。先の見えない展開にいろいろな予想が頭をよぎって楽しい。

「確執」

 矢島三姉妹とそれを取り巻く人々の関係が少しづつ形になってきた。4人の遺産相続者にそれぞれ味方(といっても、それぞれの思惑を持った味方)が付くようになったからだ。

 藤代(高島礼子)には梅村芳三郎(高橋克典)、千寿(瀬戸朝香)には夫の良吉(沢村一樹)、雛子(香椎由宇)には叔母の芳子(浅田美代子)、そして文乃(米倉涼子)には宇市(橋爪功)である。

 というのは、一応の構図で、まだ明確でない部分もある。おそらく、それが今後の展開において重要な部分なのであろう。その一つが、梅村の存在である。彼は、藤代の味方であることを強調しているが、その一方で文乃にも近づいている。文乃への接近が、藤代のためのスパイとしての行動であるという可能性もあるが、まだ良く分からない。彼が文乃の味方になると、相続者たちの力関係にも大きく影響がでるだろう。

 さらに、宇市も曲者である。彼は、頼りないような雰囲気を自己演出しているが、相当したたかな人間のようだ。それは、初回にマージンを受け取っていた場面からも分かるし、今回、文乃から受け取った掛け軸を着服したところにも表れている。女系家族の中で、最も上手く立ち回っている彼が最終的に一番の利益を得るという可能性も否定できない。

 女性同士のドロドロシーンよりも、静かに渦巻く思惑が入り乱れるような展開を観たい。キーになる男性の配置も上手いので、今後が楽しみだ。

「激突! 愛人と三姉妹骨肉の遺産相続争い! 目的は遺産よりも復讐」

 キャストも脚本も良く、安心して観ていられた。矢島家の三姉妹の遺産相続争いというだけではなく、そこに文乃(米倉涼子)をはじめとする様々な人物の思惑が交錯し、作品のスケールを大きくしている。

 前クールの「汚れた舌」も女性を中心とした争いを描いたドラマであったが、内館作品はどちらかというと、庶民的な家庭を中心に、狭い範囲でのドラマを描く傾向にある。一方、このドラマの原作者である山崎豊子は、社会問題などをテーマに大きなスケールで描くことが多い。

 本作も、一つの富豪の家の中だけに収まらず、矢島商事の社員や梅村流家元の梅村芳三郎(高橋克典)らを巻き込んで、大きなうねりが生まれる予感がある。三姉妹を中心とした矢島家一族対文乃という構図が大枠なのだと思うが、三姉妹が心から団結しているわけではないことを考えると、そう単純なものではないだろう。

 結末で提示された、矢島家当主の嘉蔵(森本レオ)と文乃との間の子供の存在は、遺産相続の点で大きな意味を持つ。文乃自身は純粋な女性であるようだが、子供のこともあるし、周囲の意見によって、考えが変わってくるのかもしれない。それとも、純粋に子供を生むことを希望していくというだけだろうか。彼女の望みがそれだけだとしても、矢島家の人間からみれば絶対に生ませたくないだろうから、対立構造が弱くなるというわけではない。

 まだ第1話を観た限りでは、今後の展開は予想できない。適材適所のキャストも魅力的だし、上品さの仮面をかぶった卑俗な人物たちと、恵まれない境遇ながらも高潔な心を保っている文乃の対立も見所だ。また期待できるドラマの登場で、今期はどれも見逃せない。

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