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恋空 第3話

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「ぜったい幸せにするから!許されない結婚と父の涙…ヒロをおそう驚愕の真実」

 作中で起きていることは、なかなか大変なことばかりなのに、サラッと進んでいくストーリーは非常に物足りない。物語に力がないんだろうなぁ。

 回を進めるごとに、美嘉(水沢エレナ)とヒロ(瀬戸康史)の性格がよく分からなくなってくる。この年代の時って、アイデンティティが確立されてないから、行動や思考のパターンに揺らぎがあるように見えるのだ、と言われれば、確かにそうかもしれないが……

 もやがかかったような柔らかみのある映像や、ゆったりしたように見える展開(実際には、てんやわんやのはずなのに)は、どことなく「世界の中心で、愛をさけぶ」「いま、会いにゆきます」のテイストに似ている。同じく純愛モノだからだろうか?「恋空」は本当に純愛モノと言って良いのかは疑問だが。

 いずれにしても、新鮮味のない作品であることには違いない。

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「なぜ、命は大切なの?」

 いままでの恋愛を中心にしたテーマとは異なり、“命”がテーマだったためか、細部まで描ききれておらず消化不良な印象だった。

 前回までの、現代的なテーマを取り入れながらもコミカルな展開を断ち切ってしまったようで、完全な失敗だろう。信太郎(法月廉平)と姉の問題も、真帆(夏目鈴)と陸上部の顧問(丸山智己)との問題も、いずれも表面的に事象を描いたのみで物足りなかった。一話で終わらせるにしては重すぎたのではないだろうか。

 今回、校長である氷室(谷原章介)の立ち位置がより明確になったように思う。常に冷静に物事を見つめ、判断を下す人物であり、裏付けがなければ動かない。影山(伊藤蘭)の側にたつわけでも、舞(深田恭子)の味方をするわけでもない。だが、結果として舞が望むような決断が下される。これは、舞の行動や考えに対する、客観的な裏付けとして機能しているのだ。

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「勇気…予測不能の脱出!」

 相変わらず、重い物語が展開しているが、空回りしている印象が強い。

 竹虎(小池徹平)とリカ(末永遥)は芸能事務所の男たちによって、樹海に埋められてしまうが、いとも簡単に地上に出てきてしまう。まさに、裏で操っていた落合(橋爪遼)が言ったとおりで、殺してから埋めるとか、海に沈めるとか、もっと確実な方法をとるべきではないか。物語の展開上、二人が助からないといけないのは分かるが……

 子どもの頃のリカが母親(春木みさよ)にフォークを突きつけて以来、母親はリカを恐れ、無視し続けてきたという設定も、非常に浅薄な気がする。きっかけとしては考えられなくもないが、親子関係を元に戻す方法はいくらでもあっただろうに。そのため、本来であれば感動的であるはずの母娘の和解シーンでもカタルシスは得られなかった、作品にネタを詰め込みすぎた結果、それぞれが薄っぺらくなってしまったのではないだろうか。

 この作品の本当の物語は、落合と竹虎やさくら(真矢みき)の対決である。今回の終盤で、落合は竹虎に「本当の恐怖はこれからだよ」と言い放った。落合は何を企んでいるのか、落合がこれほどまでに力持っているのはなぜなのか、フィナーレに向けて動き出した物語最大の事件がどう描かれるのか期待したい。

 あまりしっかりと見ていないので、前回は気づかなかったが、へルタースケルターの副ヘッドで裏切りモノの五十嵐は桐山漣が演じてたのか。かわいらしい役が多かったような気がするが、悪役(?)も結構ハマってたなぁ。

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「優等生の反乱…明かされた秘密」

 “受験勉強”をめぐり、羽菜(谷村美月)と大和(冨浦智嗣)の二人のすれ違いと葛藤が描かれたが、学年トップの成績である羽菜が、突然「進学しない」などと言い出してしまうのは、短絡的すぎて違和感があった。きっかけがあったにせよ、これほど急にその日暮らし的な考え方に切り替わってしまうとは……

 見せ場を作るためか、羽菜の言動は多少整合性がないようにも感じられたが、それこそが、彼女の年代における心のゆらぎなのかもしれない。逆に、大和は将来を見据えた計画的な考えを持っており、今を楽しもうとする羽菜と未来の明るさを求める大和とのズレがうまく描かれていた。

 学校で学んだことに実用性はあるのか。実用性がないならば、なぜ勉強する必要があるのか。羽菜の疑問に対して、朔太郎(織田裕二)は「ハチドリのひとしずく」のエピソードを持ち出して、勉強は宝探しであると説いた。つまりは、受験勉強とは実用性がない無駄なことなのだと認めたのである。湘南学館は、その受験勉強を重視した結果、必修科目の未履修が問題となっている。受験勉強という無駄の先に、宝がある。朔太郎は、生徒たちにどんな宝をもたらすのだろうか。

 それにしても、冨浦智嗣は相変わらず声が甲高い。その声のおかげで中性的なかわいらしさが強調され魅力的だったのだが、高校生役ともなると違和感の方が強くなってくる。この先、どんな役柄がはまりそうか、なんとも想像がつかない。良い役に出会えるといいけど。

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 中間レビュー第2弾。にしても、完全に出遅れてしまい、最終回が近くなってしまった……。
 今回は、「四つの嘘」「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」「恋空」の3作品。

 前回の記事もぜひ「2008年夏季ドラマの感想(1)」

四つの嘘

 第7話まで視聴済み。
 脚本家・大石静による小説『四つの嘘』(幻冬舎文庫)を原作として、大石自らの脚本によりドラマ化された作品。視聴している夏季ドラマの中では一番見応えがある。

 女子校の同級生、原詩文(永作博美)・西尾満希子(寺島しのぶ)・灰谷ネリ(高島礼子)の3人は、同じく同級生の戸倉美波(羽田美智子)の死をきっかけに再会することから物語が始まる。3人の女性たちを中心に、生々しい人間関係が描かれており、シンプルな構成ながらも非常に見応えがあって引き込まれる作品になっている。

 ただ、美波の死が物語を始動させるきっかけである必然性が感じられない。前半の美波の死にまつわる展開(不倫相手との死など)と、後半の3人それぞれの物語との関連性が薄いように思えるのだ。冒頭の美波の死は、視聴者を惹きつけるという意味では効果があるだろうが、その後の展開への影響が少ないために、お飾りのようにしか感じられない。彼女のモノローグも必要性はなく、そもそも、美波という人物の存在意義すらも疑われるような構成なのである。

 「四つの嘘」というタイトルで、4人の女性を中心に据えた物語ということであれば、当然「四つの嘘」=「四人の嘘」というように結びつけられる。私も、当初はそのように考えながら、観ていたのだが、それは作者のミスリーディングだということに気づいた。四人の中でも“魔性”と呼ばれ、多くの男を魅了してきた詩文は、全くと言って良いほど嘘をついていないのである。
 詩文は、常に冷静でありながら、自分の考えに忠実に生きている。そこに、裏の思惑や狡猾さは感じられない。詩文と比べると、普通の主婦である満希子の方が醜いのである。詩文は、自分の意志を強く持ち、常にそれを信じ、それに忠実に生きてきた。そんな詩文に男性たちは魅力を感じ、その結果、“魔性”と呼ばれるようになったのだろう。
 だが、詩文自身には、男をたぶらかそうなどという、つまらない考えもなく、愛するまま、愛されるままに生活してきただけなのだ。本質的に“素直”な生き方をしてきた詩文が“魔性”と呼ばれてしまうというのは、現代社会に対する皮肉なのではないだろうか。
 ちなみに、美波のモノローグの中で「詩文は嫌な女だったけど、天国から見ていると意外と筋が通っている」というような部分があったことから、作者が意図的に詩文という人物を配置しているのは明らかだろう。

 さて、注目すべきキャストとしては、西尾家の家庭教師・大森基を演じる崎本大海を挙げておこう。作中の役柄は東大生だが、崎本自身は、慶應義塾大学に在学中。アメーバブログでブログを書いている若手俳優によって結成されたユニット「PureBOYS」のメンバーでもある。知的な雰囲気を醸し出しつつ、どことなく裏のありそうな表情が良くでている。今後の活躍については未知数だが、期待したい。

コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命

 第9話まで視聴済み。
 「医龍」「救命病棟24時」などを手がけた脚本家・林宏司によるフライトドクターを描いた医療ドラマ。手慣れた作りで、飽きることなく楽しめる作品。

 ドクターヘリによるダイナミックな映像と、緻密な人物描写により、見応えのある作品になっている。毎回冒頭に「前回までのコードブルー」というナレーションが入るところからしても、「24」などの海外ドラマを意識しているらしく、登場人物一人一人のエピソードも充実しており、緊迫感ある構成にもなっている。

 藍沢耕作(山下智久)の祖母のエピソードや、黒田脩二(柳葉敏郎)の事故など、医療現場における厳しさを濁すことなく、描いているところには好感を覚える。

 藍沢役の山下智久をはじめとして、白石恵役の新垣結衣、緋山美帆子役の戸田恵梨香、藤川一男役の浅利陽介、冴島はるか役の比嘉愛未など、若手のなかでも演技力のあるメンバーに加え、黒田役の柳葉敏郎、田所良昭役の児玉清や三井環奈役のりょうなどのベテランも充実しており、安心してみられる。映像表現の美しさも魅力といえよう。

 山下智久は冷静で無口な役柄がよく似合っている。ちなみに、公式サイトには、山下の画像も掲載されているが、他の出演者とは異なり、イラストタッチに加工されているのがなんとも……。ジャニーズ事務所もいい加減、普通に写真を掲載できるようにすべきだと思うが。

恋空

 第2話まで視聴済み。
 美嘉によるケータイ小説『恋空』(スターツ出版)を原作とした作品。すでに映画化もされており、目新しさはない。

 原作のファンにとっても、相次いでの映画化・ドラマ化は食傷気味なのではないだろうか。実際、視聴率は5%程度と苦戦している。私は、原作も映画も見ていないが、人物設定や描写に違和感を感じ、あまり楽しめていない。

 美嘉(水沢エレナ)はどのような性格なのだろうか?比較的まじめな女子高生かと思っていたら、強引なヒロ(瀬戸康史)にあっけなく恋をして、タツヤ(永山絢斗)から離れてしまった。美嘉の心の中は分からなくもないが、ヒロと付き合い始めるまでの描写があまりにサラッとしていたため、違和感を感じてしまう。まじめな性格であるならば、ヒロと付き合おうと思うまでには様々な葛藤があるだろうに。
 物語の表面的な展開をなぞるだけではなく、きちんとした心情描写をしてほしいものだが、この作品に、それを求めるべきではないのだろうか。

 瀬戸康史には優しさと頼りなさを感じてしまい、ヒロ役には似合わないような気がする。永山絢斗は「パズル」に引き続き、味のある雰囲気がなかなか良い。二人とも今後に期待したいが、瀬戸康史にとっては、本作がマイナスの評価につながってしまうのではないだろうか。

 今年の夏ドラマの中で、現在視聴中なのは「太陽と海の教室」「シバトラ ~童顔刑事・柴田竹虎~」「学校じゃ教えられない!」「四つの嘘」「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」「恋空」「33分探偵」「ここはグリーン・ウッド ~青春男子寮日誌~」の7作。これにプラスして「炎神戦隊ゴーオンジャー」「仮面ライダーキバ」の特撮2作、「花ざかりの君たちへ ~花様少年少女~」「ろまんす五段活用 ~公主小妹~」の台湾ドラマ2作、「24 Season 5」「LOST2」「HEROES」の長編ドラマ3作。いずれも地上波もしくはBSでの視聴だが、すべて録画したものを見ているので、放送のタイミングとはズレてしまっている。

 中間レビューと言うには少し遅い時期になってしまったが、個別レビューを始める前に、現段階での一通りの感想を書いておこうと思う。

 ということで、今日は「太陽と海の教室」「シバトラ」「学校じゃ教えられない!」の3作について簡単にまとめておく。

太陽と海の教室

 第4話まで視聴済み。
 月9では久々の学園ドラマ。日テレで「14才の母」「バンビ~ノ!」などのプロデューサーとして活躍していた村瀬健のフジ移籍第1作である。

 湘南を舞台に繰り広げられる高校生たちの青春群像がなんともすがすがしく、見ていてほほえましい良作といえる。若手俳優たちの爽やかさもよいが、織田裕二扮する櫻井朔太郎の哲学的な言動がこのドラマの肝であり、タレントを集めただけのワイワイ学園ドラマとは一線を画した作品になっている。
 学園ドラマの定石ともいえる、主人公の教師と校長(もしくは教頭や理事長)との対立、主人公の肩を持つ教頭(もしくは校長や理事長)という構図は、本作でも同様で、朔太郎を呼び寄せた校長の長谷部杏花(戸田恵子)以外の教員は理事長の神谷龍之介(小日向文世)側に付き、朔太郎を邪魔者扱いしている。本作では、長谷部の娘である榎戸若葉(北川景子)を朔太郎が担当する3年1組の副担任につけるということで、定石に味をつけているようだ。さらには、その若葉に結婚を迫る川辺英二(山本裕典)というキャラクターを用意している。

 物語は3年1組の生徒たちを中心に、進学と恋愛を絡ませながら展開していく。主要な生徒一人一人が何らかの問題や悩みを抱えているというのは、どんなドラマにもよくある設定だが、本作はそれらをバラバラに処理することなく、ある一つの方向に向かって収束させていこうという意志が見える。学ぶことの本質的な意味とは何か。人生における高校生活の意義とは何か。直接的な表現こそされないものの、学歴至上主義の現代に生きる人たち(特に高校生たち)への強いメッセージが感じられるのである。

 キャストについてふれると、根岸洋貴役の岡田将生は正統派の美少年だが、ちょっと頼りない雰囲気がいい味を出していて良い。白崎凜久役の北乃きいは「ライフ」の印象が強いが、勝ち気に見える顔つきは今回の役にも活かされている。田幡八朗役の濱田岳は、もはやこの手の役回りには唯一無二のポジションを確立したと言っても過言ではない。屋嶋灯里役の吉高由里子は「あしたの喜多善男」のイメージそのままのファム・ファタール(魔性の女)っぷりがハマっている。楠木大和役の冨浦智嗣は、だいぶ大人っぽくなったが、声の魅力は前と変わらず安心(笑)ただ、長髪はイマイチ。日垣茂市役の鍵本輝(Lead.)は、熱血っぽさが似合っている(本業の歌手としての注目度が低いのは問題)。澤水羽菜役の谷村美月は、ミステリアスな雰囲気を感じてしまうが、優等生らしい冷たさ加減が良い感じ。川辺英二役の山本裕典は、派手な茶髪がよく似合う。三崎雅行役の中村優一(D-BOYS)は、もっと快活な役柄の方が良い。役とはいえ、髪型に違和感アリ。

 ちなみに、公式サイトを見ていて驚いたのは、北川景子演じる榎戸若葉が東大卒の才女だということ。どう甘く見ても東大卒とは思えない。そもそも東大卒という設定に意味があるのだろうか?ドラマの中での描写を見ても、東大卒とは思えないし、東大卒の設定なら北川景子はミスキャストだろう。東大卒という設定さえなければ、何の文句もないのだが・・・。

シバトラ ~童顔刑事・柴田竹虎~

 第7話まで視聴済み。
 安童夕馬・朝基まさしによるコミックを原作とした刑事ドラマ。タレントの力(人気)によりかかっただけの駄作。

 シバトラこと柴田竹虎(小池徹平)による潜入調査の中で起こる事件を一つのエピソードにつき3話程度のボリュームを持って進めている。主演の小池徹平は童顔刑事という設定にピッタリで、22歳だがまだまだ高校生役でも問題なくいけるだろう。

 そういう意味では、変装や演技の力を求められる潜入捜査というのは、役者という仕事と共通しているのかもしれない。だとすれば、本作において、小池徹平は刑事としての竹虎を演じた上で、さらに潜入する上での役柄をも演じるという、二重の演技をしていることになる。そして、その二重の演技にこそ面白さが生まれるはずだ。
 しかし、たとえば第一のエピソードにおける高校への潜入捜査では、小池自身があまりに高校生らしすぎた結果、何の違和感も面白さも感じさせないままストーリーは展開してしまった。今までのところでは、メイド喫茶への潜入により女装した時だけが、笑わせる要素を含んでいたと思うが、それでも意外と似合っていたのだから、困ったモノだ。
 まあ、そもそも童顔刑事という設定であるために、無理のある潜入捜査を描いたコメディーとはなり得ないわけだし、原作もそれを狙っているわけではないだろう。だから仕方がないのだけど、ドラマ化するのであれば、変装の違和感をうまく演出してコメディータッチにしても良かったのでは?と思ってしまう。

 というのも、作中の事件や登場人物たちの人間関係・過去などには重い要素を盛り込んでいるにもかかわらず、それらの描写はあまりに表層的で、深みが感じられないのだ。独特のメッセージ性を含んでいるわけでもないのだから、もっと笑えるドラマにした方が良かっただろう。過去に傷があるという設定だけで物語に重厚さを感じるほど、視聴者は単純じゃない。

学校じゃ教えられない!

 第3話まで視聴済。
 「女王の教室」「魔女の条件」などでおなじみの脚本家遊川和彦によるオリジナル脚本作品。

 名門女子高に5人の男子が入学したことから物語は動き出す。英語教師の相田舞(深田恭子)はその5人と、問題を抱えた5人の女子を社交ダンス部に入れるが、校長の氷室賢作(谷原章介)や校長代理の影山盟子(伊藤蘭)は、社交ダンス部を認めない。舞は、一見頼りなさげだが、芯のしっかりしたタイプで、社交ダンス部を存続させるべく行動していく。

 “性”を前面に出した内容のため、その過激さが問題となって子供に見せたくない番組にランクインしているそうだ。遊川は、「女王の教室」に代表されるように、ドラマのジャンルの既成概念を覆すような作品を書いている。本作もいわゆる“学園ドラマ”の安心感と説教臭さを真っ向から否定した学園ドラマなのではないだろうか。さらには、ドラマはあくまでもエンターテインメントであり、教育ツールではないという理念が感じ取れるような気もする。カタく考えずに楽しもうよ、そんな声が聞こえてくるようだ。

 メインの生徒が10人というのは、いささか多すぎるようにも感じるが、一人一人のキャラクターが確立しており、それぞれの個性が活きている。中でも注目すべきは水木一樹(中村蒼)、見城瞳(朝倉あき)、横山永璃(仲里依紗)、西川叶夢(森崎ウィン)の4人だ。一樹と瞳は社交ダンス部の中心的存在で、客観的な視点で他のメンバーの恋愛や悩みを見つめている。その裏にあるのは、この二人は恋愛ということにおいて、蚊帳の外にいる存在だという点だろう。一樹は叶夢のことを好きになってしまったが、永遠に伝えないと決めている。パートナーの瞳は結果的には取り残されたことになる。恋は盲目とよく言うが、恋から一歩離れたところにいる二人だからこそ、自然と冷静な言動をとってしまうのだろう。逆に永璃は、まさに恋多き女であり、それゆえに盲目である。彼女と叶夢の向こう見ずな行動と、一樹と瞳の冷静さが重なることによって、物語の魅力が生まれているのだ。

 楽しんでみられる良作だが、演技の拙さや映像処理の粗さ(カットの切り替わりに違和感を感じるなど)が目立つ。全体的に荒削りなのがもったいない。

 キャストに関して言えば、中村蒼は「名前で呼ぶなって!」で初めて見て以来、注目中。ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト出身でバーニング系列のレプロエンタテインメントに所属している。事務所の力もあるだろうが、すでに「BOYSエステ」で連ドラ主演、「ひゃくはち」で映画主演を果たしている。声の重さ(低さ)が気にかかるものの、これからの活躍が期待できる注目株だ。また、成田静也役の前田公輝や仲里依紗についても今後を期待したい。

仮面ライダーカブト VOL.1

仮面ライダーカブト

2006/01/29~2007/01/21
テレビ朝日 毎週朝8時
【キャスト】水嶋ヒロ、佐藤祐基、里中唯、徳山秀典、内山眞人、加藤和樹、山本裕典、ほか

 最近のドラマは、次の放送が楽しみ!というものがなく、平均的にレベルが落ちているような気がします。それでも、いろいろ見ちゃうんですけどね。

 そんな中で、この「仮面ライダーカブト」は毎回楽しみにしていた数少ない作品の一つ。いつもいつも、いいところで終わりが来て、次に誘導するという、ドラマ本来のひっぱり具合が上手い作品でした。最近のドラマは、一話完結の短篇連作的なものが多く、新聞小説的に視聴者を引きつけるものは少ないですね。それぞれに魅力があると思うので、一概にどちらがいいとは言えませんが。

 で、カブトですが、この作品は子どもが見て分かるのか、という疑問を抱かずにはいられないほどに入り組んだ設定でした。と言いつつも、子どもは単純にライダーたちの戦闘シーンがあれば、細かいストーリーまで気にしないだろうという気もします。とにかく、敵だか味方だか分からなかったり、ライダーが大量に登場したり、空間の歪みで違う世界に行ったり、同じ人物が複数現れたり……私でも、細かい部分の設定や背景などはつかめていないぐらいに難解です。

 もちろん、どんでん返しや裏切りが毎週のように展開されるからこそ面白いので、その複雑さが一番の魅力のようにも思います。全体を通してみても、プロット的に納得のいかない点はそれほどみられなかったので、しっかりした脚本だったと言えそうです。

 ちなみに、劇場版「GOD SPEED LOVE」の方は、本編の上をいく複雑さで、劇場版を見ただけでは理解不能なのでは?という気がします。おそらく、本編とは別の時間軸で起こった状況を描いた作品なのだと思うのですが、登場人物も同じなので(当然なのですが)、終盤になるまで、なにがなんだか分からない感じでした。まあ、シカケが分かった時は、スッキリして気持ちいいんですけどね。ついでに、もう一度最初から見たくなるし。うまいな(笑)

天の道を往く者たち 劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE メイキング『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』公式インタビュー&ストーリーブック 『絆』

 ドラマの方に話を戻すと、最後の2話の展開の早さには無理矢理の印象を受けました。ネタバレになるので、詳しくは書きませんが、それまでの展開のスピードと比べて、突然の急展開となるため、当然、描ききれていない部分もありました。最終回の前の回を見た段階では、次が最終回とは思いもしませんでしたからね。結末部分にもう少し余裕を持たせてくれると良かったかな。

 一応、キャストについても触れておきます。全体的に演技力のあるキャストが揃っていて良かったです。
 主役の天道総司(カブト)役は水嶋ヒロ。知的な感じが良く合っていました。後半で、一人二役になったときの声の使い分けがなかなか良かったですね。研音所属ということで、今後も順調な活躍が期待できそう。
 加賀美新(ガタック)役の佐藤祐基はがむしゃら熱血な雰囲気をいい感じに演じてました。天道との対照性が上手くでていたと思います。ナベプロ系のトップコート所属なので、こちらも露出度が増えてくる可能性大。
 今後の期待度では、神代剣(サソード)役の山本裕典が一番のような気がします。所属しているエヴァーグリーン・エンタテイメントは初めて聞いたのですが、他の所属タレント(委託も含む)を見ると、バーニング系列のようです。だから、レオパレスのCMで藤原紀香と共演(?)してるのか。カブトを見ている限りでは、演技も悪くなさそうだし(コミカルで良かった!)、水嶋ヒロ以上に露出が増えるかもしれません。

仮面ライダーカブト ヴィジュアルガイドブック CAST OFF仮面ライダーカブト CLOCK UP

 この三人以外にも、矢車想(ザビー、キックホッパー)役の徳山秀典や影山瞬(パンチホッパー)役の内山眞人、風間大介(ドレイク)役の加藤和樹など、男性陣は充実しています。というか、ライダーを大量に出したのは、若手俳優をたくさん出演させて女性ファンを獲得するのが目的なのでは?という気もしてしまいます。
 一方の女性陣ですが、日下部ひより役の里中唯や天道樹花役の奥村夏未、岬祐月役の永田杏奈に高鳥蓮華役の手嶋ゆかなど、こちらも充実しています。ただ、最近の特撮ものは男性俳優の方に力を入れる傾向があり、今回も、男性よりのキャストという感じがします。個人的には、里中唯なんか良いと思うのですが、所属しているユニオン・プロダクションがどのぐらいのプロダクションか分からないので、今後については未知数です。

 長くなりましたが、カブトはオススメ出来る作品だと思います。時間があったら、DVDでまた最初から見ると、もっと深くつかめて、面白いだろうなぁと思いますが、なかなか時間が......。複雑なので、DVDの方がじっくり見られていいかもしれないですね。一息つく間もなく、来週からは、新作「仮面ライダー電王」が始まるのですが、個人的にはイマイチ期待できない気がします。見ますけどね。

仮面ライダーカブト VOL.1 最強の二段変身~キャストオフ仮面ライダーカブト特写写真集

 昨日、今期の連ドラの感想を書いたので、それに続いて他のドラマの感想も書いておく。昼&深夜ドラマで現在視聴中なのは「デザイナー」、「アストロ球団」「ケータイ刑事銭形零(ファーストシリーズ)」「スターライト」の4作。

デザイナー

 一条ゆかり原作の同名コミックのドラマ化。

 現在視聴中のドラマの中ではこの作品が一番面白い。「野ブタ。をプロデュース」「花より男子」よりも良いと思う。30分という枠の中で必ず大きな展開が起こるので、毎回惹き込まれてしまう。1時間の枠でもたいした展開がないドラマも多い中、非常に洗練された構成である。

 また、昼ドラとは思えないほどの豪華なキャストも良い。亜美役の松本莉緒も鳳麗香役の国生さゆりも気品に満ちた迫力があるし、もう一人の主要人物である結城朱鷺役の塩谷瞬も不思議な雰囲気の中に知性をつつみ込んだ様子が伝わってくる。

 亜美と麗香のデザイナーとしてのプライドがぶつかり合い、その中にまたありさ(国本綾)らのモデルとしてのプライドも絡み合っている。それと同時に亜美のスポンサーとなった朱鷺と亜美との葛藤も見所だ。亜美は朱鷺に操られることから逃れようとするが、デザイナーとして麗香の上に立つためには朱鷺の元を去ることは出来ない。朱鷺は亜美の人生のデザイナーなのである。

 明(天野浩成)や青石(乃木涼介)との関係や亜美の出生の秘密、そして朱鷺の目的と彼の過去。物語は中盤を越えたが、まだまだ気になる点はたくさんある。今後もめまぐるしい展開を楽しみにしたいと思う。

アストロ球団

 遠崎史朗原作の同名コミックのドラマ化。

 観ていて自分でも面白いのか良く分からない。つまらないわけではないのだが、のめり込むほどでもない感じだ。超人野球は非常に映像的で面白いのだけど、ストーリー自体はあまり面白くない。

 宇野球一(林剛史)率いるアストロ球団と峠球四郎(金児憲史)率いるビクトリー球団の対決も、単純に両チームの超人的な技術を楽しむというだけで、勝敗がどうなるかということはあまり気にならない(アストロ球団が勝つのだと思うが)。

 そういうドラマだと思えば、ある種のバカバカしさがとても楽しいのだが、一般受けはしないだろう。だからこそ深夜ドラマということか。制作者の気合も伝わってきて、決して悪いドラマではないが、個人的にはあまり好きではない(楽しいことは楽しいのだけど)。

ケータイ刑事銭形零(ファーストシリーズ)

 BS-iで放送された、ケータイ刑事シリーズの地上波放送。

 シリーズとして多くの作品が生まれているが、私が観たのは本作がはじめてである。全体的に評判の良いシリーズのようだが、評判通りの楽しいドラマだった。

 一番良いと思ったのは、新しいドラマを作ろうという意志が見えるところだ。最近の地上波の連ドラは原作に頼りすぎていて、勢いが感じられない。それに対し、本作はシリーズものではあるが、常に新しさを目指しているように思う。

 たとえば、第5話の「キラークイーン殺人事件」は劇中劇というメタミステリ的な趣向の中で、物語が展開していて新鮮だった。上手く処理しきれていない点もあったが、十分に楽しめた。

 また、作品全般にちりばめられたシュールな雰囲気も面白い。零(夏帆)と高村(草刈正雄)のやりとりもテンポが良くて楽しいし、他の登場人物たちも、フィクションであることを前面に押し出した設定で愉快だ。ミステリとしての合理性や意外性も損なわれていないので、ミステリ好きにも楽しめるだろう。

 ただ、ドラマにリアリティを求める人にはお勧めできない。この作品は過剰なまでにリアリティを排除している。もちろん、ミステリとしてフェアであるためのリアリティは残されているが、基本的には、非現実的な状況や人物が多用される。それを見てバカバカしいと切り捨ててしまうような人は、このドラマを観ない方が良いだろう。その意味では、バカバカしさを楽しめる人のためのドラマと言えるかもしれない。

スターライト

 実在するスターライトスタジオを舞台にした青春ダンスドラマ。

 スターライトスタジオを舞台にしていることから分かるように、ヴィジョンファクトリー(旧ライジングプロダクション)のタレントが登場する。その中心はFLAMEの北村悠と野口征吾の二人である。二人の演技は可もなく不可もなくといった感じだが、いかんせんストーリーがつまらない。

 青春ドラマとしての新鮮さがあるわけでもないし、他の部分に魅力があるわけでもない。作品のアピールポイントは何なのだろうか。タレント主導だとしても、もう少しどうにかしてほしい。主演の星井七瀬がかわいそうではないか。なんだか分からないドラマに出演させられて。

 作品を観ていて伝わってくるのは、ヴィジョンファクトリーの焦りである。ジャニーズの強力な圧力によって、タレントを上手く売り出せないでいるという状況でも、w-inds.はそれなりに人気を集めてきた。しかし、その後に続くべきFLAMEやLeadはなかなかファンを得られないでいるようだ。

 そんななかでスターライトスタジオを舞台に、FLAMEを出演させたドラマというのは、どう考えても事務所の宣伝であり、アピールであろう。個人的な意見だが、このようなやり方は一番やってはいけない手法だと思う。ドラマにせよ、小説にせよ、映画にせよ、描きたい内容や場面があってこその作品である。この作品ではそれが伝わってこない。宣伝的な面が強いからではないかというのはうがった見方だろうか。

「学校が燃える夜、鬼教師の目に血の涙…先生お願い、友達を助けて!」

 とうとう真矢(天海祐希)の真意が、彼女自身の言葉によって明らかにされた。真矢は、子供であるということに逃げ、周囲の大人や友人に責任を転嫁して生きる生徒を目覚めさせることを目的としていたのだ。以前の感想にも類似のことを書いたが、彼女は自分で考え、自分の意見を持ち、自分の責任で行動し、何があってもその信念を曲げない人間、すなわち、真矢自身のような人間を育てることを目指していたのである。

 そして、その教育は今回の終盤でかなり成功に近づいたものの、まだ確実とはいえないだろう。真矢が言うように、人間とは弱いものであるから、今回の結束もまた崩れる可能性がある。自分の意志を強く持つことを身を持って教えられた恵里花(梶原ひかり)や、その友人たちの結束は揺るぎないかもしれないが、それ以外のクラスメートたちはまだ自分自身の体験として得たわけではないから、おそらく容易に断ち切られてしまうことだろう。

 この結束・断絶の繰り返しによって、少しづつ成長して行くという、恐ろしく長く、根気のいる教育を真矢は行おうとしているのだ。そのためには、愚鈍な親たちや校長たちに止められてはいけない。決して、途中で中断することのできない、大掛かりな教育を行っている彼女が、教師を決して辞めないという強い決意を抱いていることは当然のことなのだろう。そういう決意なしに、このような深遠な教育を実践することは無謀であるどころか、生徒のことを考えても決して行ってはいけないものなのである。

 さて、次回予告の真矢の変貌であるが、あれはどういうことなのだろうか。以前も書いたが、たとえ真矢が生徒思いの教師だとしても、そのことを明かしてしまっては、凡庸なドラマになり下がってしまう。決してそうと語ることなしに、視聴者に気付かせることが重要であるし、制作者側もそう考えていることだろう。だから、あの、変わり果てた真矢の姿は、だれかの夢や妄想、あるいは理想や願望であるか、「再教育センター」に送られる前の真矢であるのではないかと思う。ただ、「ごめんねー。これが本当の私なの。」という台詞が入っていたことを考えると、後者である可能性は薄いだろう。

「英語対決!勝負だバカ6人」

 今回の中心は、英語。洋楽を使って英語に慣れる、というのもやはり、すでに広く実践されている内容で、これといった新奇さはなかった。

 このドラマで描かれる勉強法というのは、基本的にすでに提唱され、認められているものを少しアレンジし、誇張したにすぎないような気がする。もちろん、勉強法だけがドラマの魅力ではないので、全体を否定することはできないが、革新的な勉強法を期待していただけに、物足りない感じがしてしまう。すでに有効的な勉強法というのは出尽くしてしまったということかもしれない。それだけ、受験ということが一般的であるのだろう。

 なお、今回、東大英語の自由英作文は減点法で採点されるということが説明されたが、これは東大に限ったことではなく、ほとんどの場合、自由英作文は減点法による採点である。だから、曲がりなりにも高校の英語教師として働いている真々子(長谷川京子)が東大の問題を見て、減点法であると気付かなかったというのは違和感がある。龍山高校は大学受験をする生徒自体が少ないということだろうか。確かに、自由英作文が出題されるのは国立大学や、上位クラスの私立大学であることを考えると、彼女が知らなくても当然なのかもしれない。

 ちなみに、自由英作文に限らず、国語・社会・理科の記述・論述問題や小論文なども基本的に減点法で採点される(問題によって、必須事項が設定されている場合が多いが)。自由英作文で簡明な構成、容易な単語、短い文を心がけることは基本であるし、それは論述や小論文などでも同様だ。どれだけ丁寧に細かく書こうとも、必要最低限のことしか書いていない答案より高得点になることはない。むしろ、余分な部分に間違いがあれば、そこで減点されてしまう。減点される可能性を減らすためには、無駄なことを書かないに限る。

 そういう、受験の基本とも言える知識を身につけることは、受験体制に入る第一歩である。受験勉強(特に大学受験)は志望校に合わせた勉強が不可欠であるから、まずはじめに志望校の傾向を抑えなくてはならない。東大に受かった人が早稲田に落ちるなどということがざらにあるのは、早稲田向けの勉強をしていなかったというだけのことで、東大に偶然受かったということではないし、ましてや東大よりも早稲田の方が難しいというわけでもない(問題にもよるし、個人的な感じ方にもよるが)。

 だから、今回、特進クラスの矢島(山下智久)・水野(長澤まさみ)・緒方(小池徹平)・香坂(新垣結衣)・小林(サエコ)・奥野(中尾明慶)が、龍山一の優等生で、帰国子女の栗山祥太(橋爪遼)よりも高得点をとったのは当然と言える。桜木(阿部寛)が言ったように、情報は力なのだ。こと受験に関しては、情報の力は大きい。だから、多くの受験生は、膨大な情報を持っている大手予備校に通うのである。

「修羅場」

 宇市(橋爪功)のしたたかさにも綻びが見えはじめた。山守の戸塚(石田太郎)が言ったとおり、嘉蔵(森本レオ)が彼に遺言を残さなかったのは、横領を知っていたからかもしれない。

 となると、当然、文乃(米倉涼子)にもそのことをもらしているはずである。にもかかわらず、彼女が宇市に彼のことを嘉蔵が信頼していたと告げたということは、それが嘉蔵による指示である可能性もある。嘉蔵が宇市の横領を知っていれば、その証拠を文乃に託しているかもしれないし、それ以上の策略が授けられているかもしれない。

 ただ、それならばはじめから遺言で文乃に遺産を与えれば良いだろうと思ってしまうが、嘉蔵が婿養子であり、しかもその愛人という立場上、そう簡単にはいかないということだろうか。

 宇市、梅村(高橋克典)の対決も見もので、次回梅村と藤代(高島礼子)は山林に行き、宇市の企みを暴くことができるだろうか。また、文乃の隠し玉とは何だろうか。遺産はいらないと公言している文乃が今後、遺産を手に入れようとするのかは分からないが、まだまだ大きな波乱が待ち構えていそうだ。

「三角関係」

 現在の巧(成宮寛貴)と澪(ミムラ)の恋は、学生時代の巧(福本有希)と澪(黒川智花)の恋と重なり、また一つ夫婦へと近づいた。

 ゆったりとした流れに変化はないが、冗長に感じられることもなく、やはり心地よい。その理由がどこにあるかは難しいが、一つには登場人物たちにあるのではないかと思う。このドラマの登場人物たちは皆、他人想いである。憎しみは微塵も感じられないし、争いも起こらない。

 それゆえに、非現実的で偽善的な印象を与え、反発を感じさせる可能性もある。しかし、それほど批判的な意見がみられないのは、ファンタジー作品であるからとも考えられるが、我々が心のどこかでこういう世界を求めているからなのかもしれない。争いもなく、誰もが周囲の人間のことを考えて行動している世界。現実には存在し得ない、空想世界だと知りながら、いや、空想だと分かっているからこそ惹かれるのだろう。

「夏休みはありません!追いつめられた子供が引き起こした悲劇と奇跡!!」

 阿久津真矢(天海祐希)の独裁的かつ抑圧的な教育に成果が見えはじめた。彼女の目的は、自分の意志を持ち、いかなる時もそれに基づいて行動する人間を育てることだと、前回の感想に書いた。神田和美(志田未来)はその力を発揮しているし、真鍋由介(松川尚瑠輝)も彼女の影響を受けて、力強くなった。

 そして、今回、そこに新藤ひかる(福田麻由子)と馬場久子(永井杏)が加わり、反真矢勢力(実際には真矢の意図に沿っている生徒たち)は徐々に拡大している。終盤でクラス全員にまで拡大したかのようにも見えるが、それは虚構の連帯であり、容易に崩れてしまうだろう。

 あの場面で、真矢へ反発した生徒の大半は、周囲の状況に流されたに過ぎない。そこには自分の信念のなど微塵もなく、ただ自分に有利であろう勢力に逃げ込んだだけだ。真矢が個人面談を行い、飴と鞭を巧みに使うことで、あっけなく元の状況に戻るに違いない。

 真矢にとってみれば、まだ目的が達せられていないわけだから、ここで引き下がることはできない。彼女は徹底的に生徒を押さえつけることによって、全生徒を真に強い人間へと育て上げようとしているのだ。その道は果てしない。

 もしも、数名の生徒のみが精神的な強さを身に付けたとしても、その一方で、強者に追従するだけの人間を大量に生み出してしまっては、真矢の教育は大失敗である。彼女の教育が成功するのは、全生徒が強くなったときだ。彼女は失敗の許されない、厳しい状況を自ら生み出し、果敢に挑戦しているのだ。

 だから、夏休みといえども休むことさえしない。真矢の教育方法に対する批判も多いが、並木(内藤剛志)や天童(原沙知絵)のように、自分の遊びを優先させる教師こそ非難されるべきであり、それは、週休2日制で休暇を増やし、ゆとり教育で授業を外部に丸投げするような、現代の日本の教員についても同様である。真矢は休みであっても、生徒の行動を監視し(見守り)、生徒の変化を見逃すこともない。そういう裏の努力があってこその女王なのだが、女王とは言うものの、あのような授業を行っている彼女こそが一番辛く苦しいのではないだろうか。

 この見方が正しいとした場合、たしかに、真矢の目指すことは分かるし、そのための教育法として、行き過ぎた部分もあるとは思うが、概ね納得できる。だが、一般的にみて、この教育が成功する確率は極めて低い。彼女の抑圧に反発する力を持った生徒が1人もいなかったとしたら、有力者に媚びへつらう人間を大量生産するだけだからだ。神田が抵抗できたのは、真矢の教育のためではなく、彼女自身の元来の力強さゆえである。彼女のように強い生徒がいたからこそ、真矢の教育は成功に近づいているが、そういう生徒がいなければ、元も子もないというのが、真矢の教育における一番の問題点だろう。

「泣くな!お前の人生だ!」

 今回のストーリーには二つの山場があり、さらに教員たちへの試験や東大合格のための勉強法も多数紹介され、充実した内容だった。

 緒方英喜(小池徹平)と奥野一郎(中尾明慶)、奥野次郎(水谷百輔)の双子兄弟が引き起こした喧嘩騒動は、実のところただの兄弟げんかでしかなかったわけだが、次郎の偽証により、英喜が犯人となってしまった。そして、ここでもやはり学歴による不平等が存在した。秀明館高校に通う優等生次郎の言葉は無条件に受け入れられ、龍山高校に通う劣等生英喜の言葉は無条件に否定される。この理不尽な状況から抜け出すためには、優等生にならなくてはいけない。そのための手っ取り早い手段こそ、東大生になることなのだ。

 このドラマで面白いのは、まさにその部分である。普通、東大へはすでに優等生として認められている人間が、当然の流れとして、エリートコースの一環として行く。しかし、東大は優等生のためにあるのではなく、虐げられてきた劣等生、落ちこぼれたちのためにあるのだ。東大は納得できない不平等から抜け出すために目指すのだ。

 そして、もう一つの面白さは、社会に満ちた不平等の存在を一度も否定しないという点にある。不平等はいけないとか、社会は平等であるとか、そういう聞き飽きた妄言を桜木は全く口にしない。不平等は確実に存在する。だから、自分が上層に行かなくてはいけない。不平等を撤廃する必要などないし、そもそもそんなことは不可能だ。とにかく、自分がその餌食にならなければ良いのである。

 この考えは、無実の英喜に始末書を書かせた桜木の行動に如実に表れている。「ごくせん」でもそうだったが、無実の罪には断固として反対し、無実であれば無実を主張すべきだという考えが普通である。それはその通りだ。しかし、今回のような瑣末な事件で、しかも始末書だけで済む程度であれば、無実であろうと罪を認めたほうが楽な場合もある。不平等が存在する以上、それを覆すのは容易なことではないのだ。

 さて、結局一郎は事実を述べ、特進クラスへ入ることも決めた。その特進クラスで今回行われた授業は、理科(物理)と古文。化学・生物・物理・地学の4科目が存在する理科(全てを勉強する必要はないが)を1人の教員が請け負うというのもすごいが、イラストや実験で身につけるというのがどの程度効果的かというのも疑問である。そもそも、物理は身近な現象を対象とした学問であるので、身近に感じられるイラストや実験を利用するのは普通である。その上で公式をどう覚えるかや、複雑な問題をいかに容易な問題の組み合わせに分解するか(身近な現象に置き換えるか)が重要だろう。イラストで身につけても、それを使いこなすためにはもう一段階必要だ。それがどのように指導されるのかを期待したい。また、化学や生物に出てくる化学式の攻略法も紹介してほしい。

 一方の古文はマンガで親しむという、昔ながらの方法。古文や歴史の勉強にマンガを使うのはあまりに一般的すぎるが、他に良い方法がないというのも事実かもしれない。ただ、これも初期の段階だけで、最終的には普通の勉強をする必要がある。その部分での新しい勉強法を期待しよう。また、古文単語や英単語などを語呂合わせで覚えるのも昔ながらの勉強法である。語呂合わせの問題点は、本来一意に定められないはずなのに、一つの単語に一つの意味しか覚えないという一対一対応になりがちなところだが、それはどのように回避するのだろうか。

 そして、最後に桜木が「あとは英語だけだ」というような発言をしたが、現代文や小論文はどうするのだろうか。特に現代文は教えるのが一番難しい科目だと思うので、これをどのように教えるかが楽しみだったのだが、古文を教えていた芥山龍三郎(寺田農)が指導するのか。画期的な現代文の指導をぜひ見たい。

「流産」

 このドラマのキーマンは梅村(高橋克典)と宇市(橋爪功)であるように思う。藤代(高島礼子)ら姉妹はまだそれほど宇市を疑っていないが、梅村や良吉(沢村一樹)は宇市の行動に不信感を抱いている。特に梅村は強く疑っているようなので、今後二人の対決があるかもしれない。

 当の宇市は秋田の山林をすでに丸坊主にしてしまったようで、なんと気の早いことか。藤代たちには他の山を案内してごまかすようだが、確実に自分にものになると決まる前から伐採してしまうとは、実に肝の据わった人間だ。「頭の黒い大鼠」とは、彼を評しての梅村の言葉だが、まさにその通りである。

 その梅村は藤代の味方を演じつつ、文乃(米倉涼子)にも接近している。彼はすでに、土地の鑑定の際に私服を肥やしたようだが、藤代の味方を演じているのは財産目当てに違いない。一方、文乃のことは心から想っているように感じられるが、実際のところはどうだろうか。まだまだ分からない。

 そして、次回の予告によると、梅村と文乃が会っている所に藤代が現れるようだ。これにより、3人の立ち位置がどのように変化するのか楽しみだ。梅村が藤代から離れるとなれば、宇市にとって有利になるかもしれない。どんな展開が待っているのだろうか。

「恋の予感」

 巧(成宮寛貴)たち3人家族の周囲の人々が澪(ミムラ)の存在を少しづつ感じ始めていて、今後澪がどういう状況に置かれるかがとても興味深い。特に万里子(岡本綾)や、澪の母である涼子(三田佳子)らとの関係がどうなるかが楽しみだ。

 今回、澪が自転車に乗れないことを覚えていなかったというくだりがあったが、これは、記憶喪失という設定を上手く生かしていたように思う。一方で、彼女が蘇ってきた人間であるという点についてはまだ、あまり生かしきれていない気がするので(夫婦だった二人が再び恋をするという所で生かされているが、もうひとひねりほしい)、それを上手く使ったストーリーになることを期待したい。

 とはいえ、回想シーンにおける巧(福本有希)と澪(黒川智花)の接近に合わせて、現在の二人の距離も縮まっていくという全体の流れは無理なく構成されている。今後も過去現在両方の二人を見守って行きたい。

「友達も消えた…もう学校なんて行かない!先生どうして私をイジメるの」

 このドラマもそろそろ折り返し地点か。真矢(天海祐希)に抵抗する和美(志田未来)の孤立無援の状況は、由介(松川尚瑠輝)および、彼の祖父(祖母?)きょうこ(篠井英介)により打破された。

 和美と由介の団結により、真矢と対立するための基盤は整ったように思う。現時点で、すでに第6話が放送されているが(未見)、5話を観て感じたのは、真矢はやはり教育者であるということだ。前回の感想で、真矢には教育者としての理念などないのではないかと書いたが、それは誤りだったらしい。

 真矢が育てようとしているのは、どんな厳しい状況に置かれても、決して負けることなく、また、自分の信念を曲げることなく戦うことのできる人間なのだろう。それは彼女自身のような人間であり、クラスの中で最も有望なのは和美である。真矢は和美を一番評価しているに違いない。だからこそ、彼女には強く当たるのだ。そして、幾度となく降伏を促す。それは、和美の精神力をテストするためでもあり、彼女を強くするためでもある。

 徹底的に生徒のことを調べ上げ、知り尽くしている真矢が、財布を盗んだ真犯人を知らないはずはないし、和美が溺れた原因に気付かないわけもない。にもかかわらず、彼女に救いの手を差し伸べないのは、彼女に期待しているからなのだろう。

 しかし、真矢の教育は、和美や由介を強い人間にすることには成功しているかもしれないが、同時に恵里花(梶原ひかり)や馬場(永井杏)といった、精神的に弱い生徒を放置し、あるいは、真矢自身が生み出してしまってさえいる。彼女たちは今後どうなって行くのだろうか。まさか、このままということはあるまい。今後の真矢の行動に注目しなくてはいけない。

「壁にぶつかるまで我慢しろ」

 桜木(阿部寛)率いる特進クラスに、桜木の恩師である“東大数学の鬼”柳鉄之介(品川徹)が迎えられた。昔ながらのスパルタ教育、詰め込み教育主義者で、矢島(山下智久)ら生徒の反発を受けるものの、さすがは鬼というだけあって、やっていること自体は納得できる。

 息抜きも兼ねた「トランプ勉強法」も面白いが、なんといっても真骨頂は「問題解答同時プリント」である。実際に解くのではなく、解き方を頭の中で考え、3分たったら答えを見て確認という方法はとても理にかなった勉強法である。これに類する勉強法はすでに和田秀樹らによって提唱されているので、特に目新しいわけではないが、それだけに説得力があった。

 数学はとにかく数をこなすことが必要なので、計算部分を省略し、ひたすら解き方を勉強するというのは、限られた勉強時間を有効に利用する方法だろう。個人的には、この勉強法にいたる前の、基本的な公式類を習得する段階における斬新な勉強法を提示してほしかったのだが、それは普通に勉強しろということか。普通に教えて彼らがこんなに早く習得できるとは思えないのだが……

 ところで、今回、桜木が東大出身でないことが明らかになった。桜木が東大卒であるならば、東大を出れば良い生活が送れるという彼の主張は、彼自身の置かれている状況(水道代も払えないほどの苦しい家計)と矛盾する、というようなことを以前、どこかに書いた記憶がある。しかし、桜木が東大卒でないとなると、東大に行けという主張は、彼自身の経験を通してのメッセージなのだろう。それならば大いに納得できる。

「母の愛」

 巧(成宮寛貴)、澪(ミムラ)、佑司(武井証)の三人家族は、また家族らしくなった。このように、毎回少しづつ本当の家族に戻ってゆくのだろう。このスピードでいくと、完全に打ち解けたときに別れが訪れるのかもしれない。

 このドラマを見ていると、幸せになる過程こそが幸せなのかもしれないと思う。現在放送中のドラマ「幸せになりたい!」を見ていても同様のことを感じる。家族が形作られてゆく過程は、少しずつ幸せになる過程であり、その小さな幸福の連続が実は何よりも大きな幸福なのかもしれない。

 本作の三人は、幸せそうでありながらも、少しづつ負の部分を背負っている。その面は時々しか描かれないが、そういう負の部分があるからこそ、家族との生活がより豊かなものになり、また、家族の結びつきを強めているのだろう。そして、そのマイナス面は家族の力によって少しづつ薄らいでゆくのではないかと思う。

 まだまだ、中盤に差しかかったぐらいだが、これからの三人の変化が楽しみだ。同時に、巧と澪の過去の物語も気になる。他にも謎が多いので、楽しみに見ていきたい。

 ところで、巧の回想シーンの中で、澪の名前の入った封筒が陸上部の人気選手の封筒の束の中に紛れていた。あれは、なぜなのだろうか。澪は巧のことを好きなのだろうから、四葉のクローバーは巧だけにあげたのだと思うが、人気選手にも封筒を渡したのはなぜなのだろう。きっとあの中には四葉のクローバーはないだろうけれども、好きでもない相手にプレゼント(手紙?)を渡すとは思えない。何か理由があるのか。それとも、彼のことも好きなのだろうか。

「新事実」

 宇市(橋爪功)強し。さすがに、長年矢島商事の帳簿を仕切っていただけあって、大変うまく立ち回っている。藤代(高島礼子)に山林の記載もれを指摘されたものの、のらりくらりとやりすごし、さらには開き直ることで、一族に頭を下げさせた。

 とはいうものの、今後、良吉(沢村一樹)らが本格的に動き出せば、宇市の立場も危うい。実際、良吉は早くから宇市に疑念を抱き、社長就任後は退職を促すつもりでいた。宇市を一番強く疑っているのは、彼だろう。

 しかし、その良吉の社長就任にも揺らぎが見え始めた。それは、文乃(米倉涼子)が嘉蔵(森本レオ)の愛人であることが、デパート側に露見してしまったことが原因である。梅村(高橋克典)の助言により、見事回避できるのだろうか。

 それにしても、梅村の真意はいまだに分からない。彼の目的はどこにあるのだろうか。藤代にとりいることで、矢島家の資産の一部を得ようとしているのかもしれないが、それにしては文乃との親しい関係が気にかかる。みている限りでは、文乃に近づいているのは、思惑があるというよりも、本当に嘉蔵を愛している彼女を想ってのことであるように思える。現時点で一番の謎がそれである。はたして、今後梅村はどのような振る舞いをするのか。それによって、遺産争いの結果はどう変化してゆくのか。緊迫感あるストーリーが心地よい。

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